新年に寄せて |
2021年01月01日(金)
新年に寄せて
イギリスの歌を研究していてよく思いますことは、「歌は逞しい!」ということです。 自然災害、飢餓、貧困、宗教や政治の対立、大火や病気の蔓延・・・世界に先駆けて産業や科学が発達した国にあっても、世情はほぼ常に不安であったことでしょう。 歌は形を変え、姿を変えながら、人々の暮らしに寄り添ってきました。華やかな舞台で観客に向かって歌われる歌だけでなく、農夫が一日の終わりにひとり感謝を捧げる歌、旅人が遠い町の便りをもたらす歌、酔っ払いが世相を揶揄する歌・・・歌は日々新しく、人々を慰め、楽しませ、絆を生みました。
私達はこのパンデミックから何を学べるのでしょう。 むやみに悲観することも、むやみに平気ぶることも、玉石混交の”情報”に一喜一憂することも、ただ振り回されているように感じられます。 私達は、これまでもこれからも、ただ地道に淡々と、できることを精一杯、誠実に取り組んで行くだけです。 社会を支えて下さっている方々に多くの幸いが訪れますように。 私達を育ててくれたイギリスが老大国の底力を発揮してくれますように。 家族や仲間たち、様々な形でつながってきた大切な皆さんが、守られますように。 歌が、いつもそばにありますように。
2021年1月1日
辻裕久 なかにしあかね |